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シロアリ・羽アリの発生時期や兆候は?
プロが教える対策法!
「シロアリが活動する時期っていつなんだろう?」「羽アリが飛ぶ季節はいつごろ?」など、シロアリや羽アリの発生・活動時期についての情報は、意外に知らないのでは??
今回は、羽アリの発生時期やシロアリが活発に活動する時期にすべき対策など、皆さんの疑問にシロアリの専門家がお答えします!
シロアリ・羽アリの発生時期と兆候について
疑問01
シロアリが出現する決まった時期ってあるの?
実はシロアリは1年中活動する昆虫なんです。他の昆虫のように休眠をしないのが特徴です。
寒くても暑くても活動する、実には厄介な虫なのです。
1年中活動し、1年中卵を産むため、「シロアリが発生する特定の時期はない」といっても良いでしょう。
ただし活発に活動をする、逆に動きが鈍くなる時期や温度はあります!
シロアリは暑すぎるのも寒すぎるのも苦手な昆虫です。
暑い夏や寒い冬は動きが鈍くなります。
ここで注意したいのが、シロアリが床下に生息していた時です。
床下は直射日光が避けられたり、家の断熱効果が影響することもあり、シロアリにとって快適な環境が整っている可能性があります。
残念ながら、猛暑だからシロアリがいなくなった!…と、安心してはいけません。
また、ヤマトシロアリは30度、イエシロアリは35度で最も摂食量が増えるというデータもあります。
気温が高い夏から秋にかけてはシロアリの活動量が多くなり、エサを食べる量も多くなります。そのため、気付かないうちに被害が進んでしまう可能性もあるのです。
気温と摂食量の関係を表した図。温度が高いほど、シロアリの食べる量(活動量)が多くなることがわかる
↓詳しくはこちらの記事もご参照ください↓
シロアリ研究所:第1話「夏・秋 シロアリの注意ポイントはココだ! 」
(提供:株式会社アサンテ)
疑問02
シロアリの発生のサイン(兆候)ってあるの?
シロアリは土や木の中に隠れているため、普通に暮らしている状況だとシロアリの発生になかなか気づくことができません。
多くの場合、シロアリの被害に遭ってから気づくことになります。
戸が閉まりにくい、床がギシギシ軋む、柱から空洞音がする…このような症状があった場合は要注意です!
このような症状は、シロアリが柱や床下を食べてしまったことから起こることがあります。このような症状が出始めたら、シロアリ駆除の専門業者に床下診断をお願いしましょう。
もちろんすべての症状が、シロアリ被害が原因で起こるわけではありませんが、被害になってからでは大変です。
そうならないための一番の対策は「早期発見」!
万一のためにも、ご自宅で紹介したような症状が現れた場合は、念のため、シロアリ駆除の専門業者に調査してもらったほうがよいでしょう。
疑問03
羽アリが出現する時期ってあるの?
羽アリは種類よって発生する季節や群飛する(多数で群れをなして飛んでくる)時間帯が変わります!
ここで羽アリの種類ごとに詳しく解説していきます。
(ヤマトシロアリ・イエシロアリ・アメリカカンザイシロアリ・クロアリの群飛の表)
種類①:ヤマトシロアリ
ヤマトシロアリは、ほぼ全国的に生息しているポピュラーなシロアリです。
ヤマトシロアリの群飛は4月下旬から5月頃(東北エリアから北海道エリアにかけては6月)に発生しやすいとされています。
特にお客様から羽アリのお問い合わせを多く受けるのは、雨上がりで天気が良く、気温が上がる日が多くなっています。
湿気でムシムシする日は要注意です!
ヤマトシロアリを写した画像。体は黒褐色をしている
種類②:イエシロアリ
千葉県以西の海岸沿いに生息するシロアリで、加害スピードが速く、獰猛な性格をしています。
イエシロアリの群飛は6月から7月頃に発生します。
イエシロアリの群飛は特徴的で、夕方から夜に起こります。また、イエシロアリの羽アリは走光性で、光に集まる習性をもっています。
外灯や室内灯に集まりますので、注意して見てみてください。
また、イエシロアリは少し雨が降っていても群飛します。
イエシロアリを写した画像。体は茶褐色をしている
種類③:アメリカカンザイシロアリ
宮城県仙台市から沖縄本島まで24都府県で発見されている、少しレアなシロアリです。
日本で猛威を振るっている外来種の1種です。
6月から9月の昼間に群飛をすることが多いですが、条件が一致すると不定期に群飛をします。
群飛時期での特定は難しいため、専門家による判定を必要とします。
各シロアリの詳しい特徴は別のお話で紹介しますので、お楽しみに!
種類④:クロアリ
日本には280種類以上のクロアリが存在しているそうで、種類によって羽アリの発生時期・時間が違うため、残念ながら一概にいつ飛ぶとはお伝えできません。
とはいえ、6月以降に黒色の羽アリが大量発生した場合、クロアリの可能性は高くなります。
しかし、シロアリと群飛時期が被っている種類もいるので、羽アリを見つけたら専門家に相談することをおすすめします。
<羽アリ発生を示す兆候やサイン>
それでは具体的に、羽アリはどのような日に群飛がしやすいのでしょうか。
データをもとに詳しく見ていきましょう。
・シロアリの群飛発生当日の気候
晴れている・曇っている日が全体の98%を占めています。雨の日はあまり飛びません。
グラフ1 群飛発生当日の気候(鈴木英明ら を改変)
・平均気温と群飛件数
平均気温が16度~19度で群飛の件数がグッと増えています。
ちょうど羽アリが飛ぶとされる、4月下旬から5月くらいの気温にあたりますね!
グラフ2 群飛日の平均気温と群飛件数(鈴木英明ら を改変)
・群飛前日から当日の気温
前日と比べて、気温が上昇していると群飛がしやすいようです。
グラフ3 群飛前日から当日への気温の変化(鈴木英明ら を改変)
・ヤマトシロアリの群飛時刻
午前中(10時から12時頃)が多いようです。
グラフ4 ヤマトシロアリの群飛時刻(山野勝次 を改変)
ここまでご紹介してきた各種データから
【雨の降っていない日】
【平均気温が16℃から19℃】
【前日と比べて気温が上昇】
【午前中(10時から12時)】は、
高い確率で羽アリが飛ぶことがわかります。
条件に当てはまりそうな場合は、注意しましょう。
当社では、雨上がりで天気が良く気温が上がる日に、お客様から羽アリのお問い合わせを多く受けます!
このような日には注意してくださいね。
シロアリと羽アリについての基本情報
<シロアリはアリの仲間じゃない⁉>
シロアリの大きさはどのくらいか知っていますか?
種類によっても異なりますが、シロアリの職アリ(巣内のアリの90%以上を占めている、いわゆる「働きアリ」のこと)は大体3.5mm~5.0mmくらいの大きさしかありません。
職アリは大きさも形もクロアリに似ていますが、昆虫学上はハチの仲間であるアリとは異なります。
実は、シロアリは原始的な生物でゴキブリの親戚なんです!
シロアリという名前なのに、アリじゃないなんて面白いですね。
<これってシロアリ?クロアリ?>
次に、シロアリとクロアリのビジュアルの違いを見てみましょう。
シロアリやアリなどの昆虫は「頭部、胸部、腹部」の三つの部位からなる体つきをしています。
しかし、アリは胸部と腹部の間にくびれがありますが、シロアリはくびれがない「ずん胴」体型をしています。
似たような虫を見かけた場合には、見分けの参考にしてみてくださいね。
シロアリ(職アリ)
【シロアリの職アリ(シロアリ目)】
触角:じゅず状。
腹部:胸部と同じ幅で基部が細く、くびれることはない。
体色:職アリは乳白色。兵蟻は頭部のみ黄褐〜褐〜黒色で、他の部分は乳白色。有翅虫(羽アリ)は黄赤〜黄褐〜褐〜黒色。
変態:不完全変態(たまご→幼虫→成虫)。幼虫は成虫によく似た外見。
クロアリ
【クロアリ(ハチ目)】
触角:「く」の字状(雄は「く」の字状でない種類もある)。
腹部:腹部の基部が著しくくびれている。
体色:黄褐〜褐〜黒褐〜黒色。
変態:完全変態(たまご→幼虫→さなぎ→成虫)。幼虫は成虫と異なる外見。
次に、シロアリとクロアリの羽アリの違いについて見てみましょう。
羽アリになる前同様、胴がくびれているか、ずん胴かで見分けることができます。
また羽の形も違っていて、シロアリの羽は4枚同じ大きさです。
羽が近くに落ちていた時も、羽の形を見ればシロアリかどうか見分けることが できるため、覚えておきましょう。
シロアリ | クロアリ | ||
---|---|---|---|
羽アリの見分け方 | |||
①触覚:じゅず状 ②羽:前後の羽は同じ大きさ ③胴:くびれがない |
①触覚:くの字型 ②羽:前羽は大きく後羽は小さい ③胴:腹部がくびれている |
<羽アリの群飛の理由>
巣の中が成熟し、中のシロアリの数が多くなると、一部のシロアリが羽のついた虫「羽アリ」に姿を変えます。
そして新しく「つがい」となって、巣をつくり、その後、女王蟻は子供をたくさん産み、巣を形成していきます。
人間社会で言えば、子どもが実家から出て独り立ちし、結婚して、ハネムーンへ飛び立ち、家を建て、子供を産む…といった感じでしょうか。
ちなみに、ヤマトシロアリの羽アリは、飛び出したところから5~6メートル、長くても60メートル程度しか飛ばないといわれています。
つまり、群飛が目撃された場合には、近くに発達した巣がある可能性がということ。
「家で羽アリを見た!」という場合は、すでに床下に入られていたり、家の近くに巣を作られている可能性が高いので要注意です。
シロアリの生態ついては詳しく別のお話で紹介しますので、楽しみにしていてください!
シロアリ被害の予防策と羽アリ発生時の対策
ココがポイント!
予防には「早期発見」と「定期的な点検」が重要!
シロアリは土の中に隠れているため、目視で確認することができません。
それなので、一般的にはシロアリ被害の現場を発見するまで被害に気づかない、または羽アリを見て初めて気づくということがほとんどだと思います。
そのようなシロアリ被害に遭わないための予防策として有効なのが、「早期発見」と「定期的な点検」です。
先ほどもお話した通り、シロアリは土の中に隠れているために、点検や駆除を行なうときには床下に潜る作業が発生します。
自分ではなかなか手の届かない、分からない部分だと思いますので、シロアリの専門家に床下診断を依頼することをおすすめします。
床下の調査は、多くの業者で無料で行なってくれます。1年に1度程度、定期的に床下を調査してもらうのも良いかもしれませんね。
「業者の選び方のコツ」については、こちらの記事も参考にしてください!
シロアリ業者の選び方のコツ! 悪徳業者に騙されない優良企業の選び方とは?
ココがポイント!
駆除・予防におすすめの時期はない!
残念ながら、駆除・予防におすすめの時期はありません!
シロアリは1年中活動する虫なので、駆除、予防は「いつでも大丈夫」と言ったほうが正しいかもしれません。
しいていえば、「できるだけ早めの予防・対処」が大切です。
シロアリが一度住居に侵入したら、急速に被害が拡大します。
シロアリを発見した場合は、できるだけ早く駆除した方が良いでしょう。
ココがポイント!
簡易的な駆除・予防なら家庭でもできる!
先ほどお話した定期点検ですが、簡易的なものであればご家庭でもできます!
以下に紹介する記事では、 ご自宅の周辺や床下、屋根などでの対策のポイントを紹介しています。
ぜひこちらもご参照ください!
シロアリ点検のコツをプロが教えます! 初めてのシロアリ対策
ココがポイント!
羽アリを見つけても殺虫剤などは使わない!
家の中に羽アリがいたら驚いてしまいますよね。
だからといって、殺虫剤を使ったり、外へ追い出すような行為は絶対にやってはいけません!
殺虫剤の忌避効果でシロアリが殺虫剤がかかっていない新たな餌場へと逃げてしまい、被害が拡大してしまう可能性があります。
羽アリを外に出してしまうと、近所に移動してしまうこともあり、同じく被害拡大の恐れがあります。
今後の対処のために、まずは掃除機で吸い取り、1匹だけ残して専門家に見てもらうようにしましょう。
ただし、ご家庭でできる対処は、目に見える羽アリのみで、床下に潜むシロアリ全てを駆除できるわけではありません。
家の中から出てきたということは、近くに巣があり、ご自宅に住みついていて被害を与えている可能性があります。
すぐに専門家に調査や駆除を依頼することをおすすめします。
■まとめ
シロアリは1年中活動する虫であるため、対策・駆除のおすすめの時期はありません。
シロアリ対策は、早期発見・対処が基本です。
シロアリを発見した場合は、できるだけ早く専門家に相談しましょう。
種類によって羽アリになる時期や飛ぶ時間帯が違うので、種類を見分けることができます。
分からない羽のついた虫を発見した場合は、ぜひ専門家に相談してくださいね。