第2話 これが建築物に被害を与えるシロアリだ!

~シロアリの種類~

シロアリの種類

現在シロアリは全世界で約3,000種が記録されています。そのうち建物に被害を与える「建築物加害種」とされているのは104種といわれています。現在、日本に分布するシロアリは24種のみで、このうち4種が建築物に被害を与えます。しかし、その中でも日本で大きく被害を与えているシロアリはほとんどがイエシロアリとヤマトシロアリの2種類で、防除の対象となっています。

世界で104種いる建築物加害種のうち、日本に分布する主な4種のシロアリについて紹介します。

ヤマトシロアリ
Reticulitermes speratus
【分布】 北海道北部を除く日本全土。北限は北海道名寄市。
【有翅虫】 ・体長:4.5~7.5mm
・体色:黒褐色(前胸背板は黄色)
・群飛時期:4~5月(東北地方6月)の昼間
【兵蟻】 ・体長:3.5~6.0mm
・頭部の形態:淡褐色、円筒形、左右両縁平行。体長の1/2の長さ。
【職アリ】 ・体の大きさ:小型
・頭部の色:乳白色
【加害習性など】 湿潤な木材を好み、建物の下部材を主に加害する。雨もりがあると、小屋組材まで加害することがある。加害速度は比較的遅い。

イエシロアリ
Coptotermes formosanus
【分布】 北限は潮来。千葉県以西の海岸線に沿った温暖な地域と南西諸島、小笠原諸島。
【有翅虫】 ・体長:7.4~9.4mm
・体色:黄褐色(頭部は暗褐色)
・群飛時期:5~7月の夕方~夜
【兵蟻】 ・体長:3.8~6.5mm
・頭部の形態:淡褐色、卵形。体長の1/3の長さ。
・攻撃性が非常に強い。
【職アリ】 ・体の大きさ:やや大型
・頭部の色:乳白色
【加害習性など】 湿潤な木材だけでなく、被害は建物全体に及ぶ。加害速度は速く、被害は激烈である。古材より新材を好んで加害する。

ダイコクシロアリ
Cryptotermes domesticus
【分布】 奄美大島以南の南西諸島、小笠原諸島。
【有翅虫】 ・体長:5~6mm
・体色:黄褐色。
・群飛時期:ほぼ一年中不定期。夕方~夜。
【兵蟻】 ・体長:3.5~5.5mm
・頭部の形態:黒色、前面が裁断状。体長の1/4の長さ。
【職アリ】 ・体の大きさ:小型
・頭部の色:乳白色
【加害習性など】 世界の熱帯各地で最も恐れられている乾材害虫で、乾燥に極めて強く、ピアノや家具のような木製品から建造物、野外の枯枝などの中に住む。被害材の孔道から乾燥した砂粒状の糞を排出する。

アメリカカンザイシロアリ
Incisitermes minor
【分布】 宮城県仙台市から沖縄本島まで24都府県で発生。
【有翅虫】 ・体長:6~8mm
・体色:赤褐色か黒褐色
・群飛時期:ほぼ一年中不定期。昼間。
【兵蟻】 ・体長:8~11mm
・頭部の形態:濃褐色、円筒形、左右両縁はほぼ平行。体長の1/3の長さ。
【職アリ】 ・体の大きさ:大型
・頭部の色:乳白色
【加害習性など】 太平洋沿岸地域を原産とする有名な乾材害虫で、日本へは家具や荷造材などとともに持ち込まれて屋内の乾材へ拡がり、家を建て直すほどの被害を与えている。被害材の孔道から乾燥した砂粒状の糞を排出する。

シロアリは、本来熱帯と亜熱帯、温帯に分布する昆虫ですが、最近は暖房設備が整ってきたことが影響し、北上してきているといわれています。

参考文献:「公益社団法人 日本しろあり対策協会『しろあり及び腐朽防除施工の基礎知識 新版』」